Design Perspective Vol.1

PUBLISHED ON 2017.11.24

Hiroshima Design Labはデザインへの意識を高めることを目的とした新たなイベント「Design Perspective」をスタートさせました。Vol.1では、デザインをどういった観点から見るのかについて、建築家、哲学者、グラフィックデザイナーの3名のラウンドテーブルディレクターが中心となり、様々の分野の参加者によって議論を進めました。

今回はラウンドテーブルディレクターの一人で、広島を拠点に活動するグラフィックデザイナーの中山慎介さんが見つけた「良いデザイン」を題材に、「なぜ良いデザインなのか?」や「どういった観点から良いデザインといえるのか?」を議論しました。日の丸や海外のナンバープレートなど、グラフィックデザイナーらしくプロポーションの美しさに惹かれているデザインと合わせ、点字ブロックや電線など、都市の中で無秩序に広がっていくデザインへの危惧についても話されました。

価値観が多様化する今、何が「良いデザイン」なのかは議論しにくい題材になりました。しかし、デザインに関わる者またデザインを学ぶ学生にとっては、「良いデザイン」を語ることで初めて見えてくる新たな視野を大切にし、多角的な観点でデザインを生み出していく必要があると考えます。複雑で終わりのない議論ではありますが、こういった場をつくり、様々な人が集まることで、広島のデザインへの意識を高めて行きたいと考えています。

Vol.2では現在進行中のデザイナーや建築家と学生達によるフィールドワークの中で見つけられた、街に隠れたデザインを題材にし、Vol.1からの議論を発展させていきます。

[Design Perspectiveについて]
デザインという視点から、身近なものヘ意識を向けることが、より美しい社会をつくる入口になると信じ、わたしたちはこのラウンドテーブルをつくりました。デザインという言葉に対してイメージしやすいのは、自動車のようなプロダクト、ポスターなどの平面で構成されるグラフィックがありますが、多くの人が利用する建築や、複雑な社会のシステム、私たちを取り巻く環境などもデザインの領域といえます。

デザインは、意識を向ければどこにでも現れる、八百万の神のような存在です。また、アートとの本質的な違いは、人に使われる目的を持っていることです。人の役に立ち、私たちの生活を豊かにしなくてはなりません。さまざまな制約のもとで、美しく目的に適うことが必要とされます。Design Perspectiveは、美しく目的に適っているデザインを探ります。

造形が洗練されているものや、五感を刺激するもの、DNAレベルで感動するものなど、様々な発見があるはずです。意識を向ける行為が私たちに広がれば、社会を次の段階へと引き上げる大きな力になるはずです。

日本は高度経済成長後、バブルがはじけ、環境破壊が問題となりました。このとき環境破壊に対する国民意識を高めることに活躍したのは、スーパーマーケットのエコバッグ運動です。生活に身近なこの運動は大成功をおさめ、今では私たちの常識となりました。

環境に対する国民意識が高まった様に、デザインに対する意識も高まれば、次世代へ残せる美しい社会づくりの第一歩になると考えています。