Design Perspective Vol.2

PUBLISHED ON 2017.12.19

デザインへの意識を高めることを目的としてHiroshima Design Labが新たにスタートさせたイベント「Design Perspective」の第2回目を行いました。11月24日に行われたVol.1では、デザインをどういった観点から見るのかについて、建築家、哲学者、グラフィックデザイナーの3名のラウンドテーブルディレクターが中心となり、様々の分野の参加者によって議論を進めましたが、今回はザイナーや建築家と学生達によるフィールドワークの中で見つけられた、街に隠れた「良いデザイン」を題材にし、議論を展開しきました。

フィールドワークではグラフィックデザイナーの中山慎介さん、デザイナーの込山宏美さん、プロダクトデザイナーの藤本聖二さん、建築家の大田一郎さん、呉高専の谷村仰仕先生にグループリーダーをお願いし、広島工業大学建築デザイン学科の2年生から院生までの学生と一緒に街を歩き、それぞれが考える「良いデザイン」を集めてきてもらいました。

それぞれのグループが選んだ36枚の写真を見ながら、どういった観点で捉えたのか?や、どのようにして生まれたデザインなのかなどを話し合いました。綺麗なものや面白いものだけでなく、不思議なものや、いろいろな人や時間によってつくりだされたものなど、様々なデザインが題材としてあがりました。プロも学生も一般の参加者もフラットな関係でデザインを語り合う場として、非常に珍しいイベントになりました。

今後Design PerspectiveはHiroshima Design Labの中核となる活動になっていくと考えています。分野や立場の隔たりを超えて、様々な人が集まり、議論し、考える事はHiroshima Design Labが目指す”Peace and Beyond”にもっとも必要なことだと感じています。来年のVol.3以降にもご期待ください。

[Design Perspectiveについて]
デザインという視点から、身近なものヘ意識を向けることが、より美しい社会をつくる入口になると信じ、わたしたちはこのラウンドテーブルをつくりました。デザインという言葉に対してイメージしやすいのは、自動車のようなプロダクト、ポスターなどの平面で構成されるグラフィックがありますが、多くの人が利用する建築や、複雑な社会のシステム、私たちを取り巻く環境などもデザインの領域といえます。

デザインは、意識を向ければどこにでも現れる、八百万の神のような存在です。また、アートとの本質的な違いは、人に使われる目的を持っていることです。人の役に立ち、私たちの生活を豊かにしなくてはなりません。さまざまな制約のもとで、美しく目的に適うことが必要とされます。Design Perspectiveは、美しく目的に適っているデザインを探ります。

造形が洗練されているものや、五感を刺激するもの、DNAレベルで感動するものなど、様々な発見があるはずです。意識を向ける行為が私たちに広がれば、社会を次の段階へと引き上げる大きな力になるはずです。

日本は高度経済成長後、バブルがはじけ、環境破壊が問題となりました。このとき環境破壊に対する国民意識を高めることに活躍したのは、スーパーマーケットのエコバッグ運動です。生活に身近なこの運動は大成功をおさめ、今では私たちの常識となりました。

環境に対する国民意識が高まった様に、デザインに対する意識も高まれば、次世代へ残せる美しい社会づくりの第一歩になると考えています。